3DCGでアニメ表現!サブリメイションセルシェーダーの使用感と使い方【LightWave2018】

先日、LightWaveのバージョンを11.6から2018にアップグレードしました。
(2015はアップグレードしていないため、一つ飛ばしでのアップグレードになります)

本バージョンで一番注目していた機能が「サブリメイションセルシェーダー」。
サブリメイションセルシェーダーは株式会社サブリメイションが使用しているインハウスプラグインでアニメ調の表現を可能にするシェーダーです。実際に使ってみると非常に良い結果が得られました。

株式会社サブリメイションというと、「ひるね姫」「ヤマト2202」とか「ラブライブ!サンシャイン!!」の制作に携わった会社ですね。

Googleで検索してみてもサブリメイションセルシェーダーに関するブログ記事はほとんど見ない状態でしたので、今回はサブリメイションセルシェーダーを使うことでどういった画が作れるのか、また具体的な使用方法についてご紹介したいと思います。

サブリメイションセルシェーダーにまだ手を出していないLightWaveユーザーの方、またはLightWaveの購入を新規で検討されている方の参考になれば幸いです。

目次

レンダリング結果と使用感

百聞は一見にしかずということで、まずは実際にレンダリングした画像を見ていただきましょう。モデルは3~4年前に作ったガンダムAGE-1ノーマルです。マスターグレードを参考にしてディテールを加えた割と線の多いモデルです。

面構成が複雑なので、線の出方、影の落ち方がどうなるかなと思っていたのですが、手書きといっても割と通りそうな仕上がりになりました。
(ライトの当て方が不十分で一部影の落ち方を詰めきれていない部分はありますが)

使用感については配色指定そのままの色で指定出出来て複雑な設定がないため、非常に簡単に使用出来ます。特に細かく設定をせず、基本的な部分だけを調整してもこれだけ綺麗にレンダリング出来ます。

使い方

サブリメイションセルシェーダーにはYoutubeの解説動画と簡単なリファンレスがありますが、輪郭線を出す手順が同じ項目にまとまっていないため、今回は標準の輪郭線機能も使ってセルシェーディングを行う手順として一つにまとめたいと思います。

今回は平行ライト1種類のみで設定も大きく変えず基本的な使い方をご紹介します。

ライト設定


ライトの種類は平行ライト、ライトの明るさを1ルクスに設定します(初期値は3.14ルクス)
その他のパラメータは初期設定のままです。

あと、これは動画チュートリアルとマニュアルで触れられていなかったと思うのですが、
レイトレースシャドウのオン/オフで影の出方に違いが出ます。

下の画像はレイトレース影オン、オフでレンダリングしたものを比べたものです。
レイトレース影をオンにした方は影の影響範囲が大きくなっていることがわかります。

好みの部分もあると思うのですが、サブリメイションセルシェーダーのみで影を描画した方がよりアニメらしい塗りが出来ると思います。レイトレースシャドウをオンにした方はある意味CGっぽい影の付き方のように思います。

質感設定

最初にマテリアルをスタンダードマテリアルに設定します。
次にシェーディングモデルの種類をサブリメイションセルシェーダーに切り替えます。
画面下にサブリメイションセルシェーダーのオプションを開くボタンがありますのでクリックします。

<領域>
上段2つが基本色、下2つが影に当たる部分の色指定になります。
それぞれ設定画などから色を拾って設定します。

<反射光>
反射光オンにして、反射色の色を指定します。

他にも影の境界をぼかしたり、サーフェイスの色にサブリメイションセルシェーダーの描画色を乗算する機能なんかもありますが、とりあえず使う分にはこの設定だけでOKです。同じ設定を質感全てに適用します。

因みにカメラや黒ベタの塗りつぶしのように、影色関係なく1色で塗りつぶしたい場合は質感タブの色指定を全て同じ色で指定すればOKです。こうすることで影が出来ることなく、単色で塗りつぶされます。

輪郭線の設定

輪郭線はサブリメイションセルシェーダーの機能ではなく、LightWave標準機能を使って描画します。まず輪郭線を設定したいオブジェクトのプロパティを開きます。つぎに「シルエットエッジ~その他エッジ」の中で線を引きたい項目にチェックを入れます。

輪郭線の描画の設定項目が8種類ありますが、今回は以下のように設定しています。
描画色は黒原色だとかなりキツく見えますので、少し薄めにしておくといいと思います。私はRGBそれぞれ32で設定しました。

また、このままだと線が粗いままですので、綺麗に線画描画されるように設定を変更しましょう。カメラのプロパティを開いて、最小サンプルの数値を上げます。数値はお好みですが、今回は24にしました。

私は狙ったところに線が出るようにModeler側で調整をしています。線が出て欲しいところのサーフェスを別々に分けて、「サーフェイスの境界」で線を描画するようにしています。下の画像で色を変えてある部分が別々のサーフェイスになっています。

ただ今回試してみて鋭角の折り目でもかなり狙ったところに線を引けることがわかりました。下の画像は左がサーフェイス境界で線を引いた場合、右が標準機能で線を引いたものなのですが、今回のモデルの場合、2つとも大差がない結果になりました(スムージング角19.95°でサーフェイスを切り離さずに鋭角が出るようにしてあります)

スムージング角を上手く調整している場合は、わざわざ質感を分けなくてもある程度狙った線が出せるのではないかと思います。

VPR機能が非常に便利

セルシェーディングのままVPR(リアルタイムレンダリング表示)が出来るようになったため、非常に調整がやりやすくなりました。

特に影の当たり方は見栄えに大きく影響するため、ライトを微調整することが多いのですが、今まではレンダリングを繰り返していたため調整に時間が掛かっていました。VPRだと変更を加えるとすぐに描画が変更されるため、調整が短時間で出来ます。

下の画像はVPR表示の画面キャプチャですが、本番のレンダリングと遜色ないレベルで確認が出来ます。

因みに描画が重い場合は輪郭線の描画精度を一旦落とすのがオススメです。カメラオプションにあるサンプル数を最低値の1にすると良いと思います。線の描画を粗くすれば多少軽くなりますよ(※最終レンダリング時は数値を元に戻してください)

まとめ

今回使用したサブリメイションセルシェーダーは手軽な設定で綺麗な影が得られる良質なシェーダーです。なにより標準で強力なセルシェーダーが搭載されたのは非常に大きいことだと思います。外部プラグインだと今後バージョンアップした時に対応しない可能性がありますが、標準機能だと必然的に環境に追いついてくるはずです。

他にも試したいことは色々ありますので、ノウハウがたまれば、また記事にしたいと思います。

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この記事を書いた人

3DCGモデラーです。ロボットからフィギュアまで幅広く作ります。メインソフトはLightWave、ZBrush。3DプリンターZortrax M200を所有しています

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